「え、秀一帰んの? もっとゆっくりしていけば?」
「なんで自分の家みたいに言ってるんだよ。 ほら、フジヤマも帰るよ」
「……は? 俺も?」
「そう、フジヤマも」
わけがわからない。 といった顔でYUKIを見るフジヤマ。
……というか、私もわけがわからない。
だって、時間はまだ大丈夫なはずだよね?
それなのに、どうしてもう帰るって言うんだろう……。
「じゃあユージ、サクラをよろしくね」
「……え、YUKIたちが帰るなら俺も帰るよ?」
「なんで? 夏休みが終わったらなかなか会えなくなるんだから、二人きりの時間を楽しみなよ」
「……会えなくなるのはYUKIもフジヤマも同じじゃん」
「まぁね。 でもサクラの彼氏はユージだけだから」
クスッと笑うYUKI。
さっきまでは意味がわからないといった顔だったフジヤマも、「彼氏」という言葉を聞いたあとで納得したように頷いた。
「確かにここは彼氏優先だな。 二人きりで過ごす時間っつーのは、作ろうと思ってもなかなか作れねぇもん。 よっしゃ、じゃあ俺ら帰るわっ!!」
ニッコニコの顔で手を振ったフジヤマは、YUKIの肩をバシッと叩いてからリビングを出ていった。
「ちょ、フジヤマっ……!?」
と声をかけたけど、返事はない。
……ていうか、もう玄関の外へ行ってしまったらしい。
慌てて追いかけようとしたけれど、廊下へ出る前にYUKIに止められた。



