「見た目秀才っぽいって…同じこと言ってるユージとサクラは、やっぱり似た者同士だね」
「え、ウメちゃんも同じこと言ったの?」
「うん、さすがバカップル。 ……敵わないなぁ、本当に」
ひとしきり笑ったあとに、YUKIはふっと遠くの空を眺めた。
……その瞳は、とても寂しそう。
「息ピッタリの二人は、これから先もきっと変わらずに過ごしていくんだと思う。 だから、俺の入れる隙間なんてどこにも無いや」
「……」
「……っと、暗くなってる場合じゃなかった。 ここからの景色を写真に撮って見せる、って姉さんと約束してたんだった」
ニコッと笑いながら言うYUKI。
携帯をポケットから取り出し、カメラを起動させようと操作した時……YUKIは小さく首を傾げた。
「なんか、親から電話来てたみたい。 電車乗った時にマナーモードにしてたし、電話来たのはちょうど歩いてた時だったから全然気付かなかったや。 ……ごめん、ちょっと電話してみるよ」
YUKIは微笑むけれど、その顔はかなり不安そう。
……そう、だよね。
親からの電話ってことは、もしかしたら千歳さんに何かが起きたのかも……と考えるのが普通だ。
「……」
私たちから少しだけ離れたYUKIの後ろ姿を見つめながら、唇を噛む。
……どうしよう。 怖い。
電話の内容が伝わるのが、怖くて仕方がない。



