普段はツンと澄ましてるけど、今日はあれだね、フジヤマみたいだね。
自分の気持ちを隠さずに、ちゃんと笑ってる。
「今のYUKIはフジヤマみたいだね」
……と言ったのはユージだ。
さすが似た者同士。 ユージは私と同じことを思ってたみたい。
それを聞いたYUKIは、「あぁなるほど」と納得した感じで頷いた。
「ここ最近、あの人と過ごすことが多かったからね。 あの人のアホみたいなところが移ったのかもしれない」
「移った……って、なんかフジヤマ、病原菌みたいな扱いだね」
「どう見ても菌でしょ、フジヤマ菌」
……うわぁ、YUKIの周りにデフォルメされたフジヤマがいっぱい居るのを想像しちゃった。
うん……フジヤマ菌って、なんか普通にありそうだ……。
「だけど、YUKIにとったら良い菌なんだよね?」
ユージが微笑みながらそう訊ねる。
それを聞いたYUKIは、少し考えるそぶりを見せたあと、いつもと同じようにクスッと小さく笑った。
「さぁ、どうだろうね?」
と、曖昧に応えながら。
……曖昧だけど、その答えはきっと「イエス」なんだと思う。
だから私とユージは、微笑みながら小さく頷いた。
フジヤマ菌が、この先もYUKIに…ううん、私とユージにも、千歳さんにも良い影響を与え続けてくれることを願いながら。



