……私はとにかく地味で目立たない。

こうやってロータリーに居ても、誰も私に気付いてないんじゃないかって思う。

幽霊っぽい自分を自覚してるのも、どうかと思うけど……。



「ハァ……ドキドキする……」



消え入りそうな声が思わず漏れる。

でも、だーれも私の声なんて聞いてないけどね。


それから5分、10分と経っていき……同じ頃からロータリーに居た人のほとんどは、待ち合わせの相手とどこかへと歩いていった。

今ここに残っているのは、私より少し年上っぽい女性と、メガネをかけた20代前半だろう男性。

そして、スーツを着た初老の男性。

それぞれが携帯に視線を落とし、時々顔を上げては誰かを探すような素振りを見せている。


……もしかしてあの女の人って、YUKI……?


すっごく可愛い……ていうか美人。

スラッと背が高く、顔はちっちゃくて、モデルさんみたい。


フジヤマはいつも【ババァ】って言ってたけど、全然そんなことはない。

同じ女である私が、ついつい見とれてしまうほど美しい女性……。


どうしよう、私から声をかけた方がいいかな?

でももしもYUKIじゃなかったら?

私が勘違いしてるだけで、全然関係ない人かもしれない…よね。


あ、確認のメールを出せばいいんだっ。

あの人がYUKIなら、メールを見て私に気付いてくれるもんね。

よし、メールだ。 メールを送ろうっ。