ため息をつきながら電車を降り、人の波に逆らうことなく改札まで向かって切符を通す。

待ち合わせ場所は、オフ会の時と同じく駅のロータリー。

自販機でスポーツドリンクを買ったあと、私は前回と同じようにロータリーの隅っこへと向かった。



【ロータリーに着いたよー】



と、ユージにメールを送る。

……うん、今日は楽しく過ごそうって決めたんだから、不安なんて忘れて笑顔でユージを迎えなくちゃっ。


そう考えながら、スポーツドリンクを口へと運んだ。

……と、その時──。



「ねぇキミ、暇? 暇なら俺とどっか遊びに行かない?」



──……聞いたことのあるセリフが、すぐ近くから聞こえてきた。

そのセリフは、オフ会の日にフジヤマが私に言った言葉……。


だから私は、反射的に声のした方へと振り返っていた。



「えっ……!?」



……そして、自分の目を疑う。

だってそこに居たのは……私を見てニコッと笑った“彼”は、ずっと連絡を待ち続けていた人なんだもん……。






「……ゆ、き……?」

「久しぶり。 今まで連絡してなくてごめん」

「YUKIっ……ちゃんと、YUKIだッ……」


「はい、ちゃんと俺です」



相変わらずの黒い服に身を包んだ、黒髪メガネのYUKI。

……本物の、YUKIだ……。