柵に向かっていくユージの後ろ姿を見ながら、私は残っていたスポーツドリンクを口に運んだ。
中身はもう冷たくなくて、かなりぬるい。
だけど汗をかいたあとだから、どんな飲み物でもすっごく美味しい。
そのまま私はゴクゴクと飲み進め、ペットボトルは一気に空となった。
「……ご馳走さまでしたっ」
と、誰に言うでもなく言ったあと、グーッと背伸びする。
「もうすぐお昼かぁ……やっぱり、暑いなぁ……」
普段なら家に居て、クーラーの下でのんびり過ごしてる時間だ。
家にこもってばかりだから、外の暑さに体は本当に疲れきっていた。
「これから、どうしようかな……」
ユージは、このあとどうしたいだろう?
電車に乗って街へ行こうって言うかな?
それとも、もっとこの辺りを散策しようって言うかな?
「……ほんっとに、暑い……」
目を閉じると、セミの鳴き声が より一層大きく聴こえる。
暑くて暑くてどうしようもないのに、セミの声って、なんでこう暑さが増す感じの声なんだか……。
「……家に戻って、チャットしたい……」
と、なんの気なしに言った時──、
「じゃあサクラの家に行こう」
「……えっ?」
──いつの間にかベンチに戻ってきていたユージが、私を見て微笑んだ。



