……YUKIは、6年前にフジヤマの年齢を知ったんだ。
でも、誕生日までは知らなかったんだね。
年齢はチャットで見て知っていたけれど、誕生日までは聞いていなかったみたいだから。
「ユキさんは8月に、か……」
ずっと続いていくと思っていたフジヤマとユキさんの関係は、そこで終わってしまったんだ。
他の人も、夏休みが終わったらほとんど来なくなったみたいだし。
「……YUKIは、二人のことが大好きだったんだね……」
フジヤマのことも、ユキさんのことも。
凄く凄く好きだったんだ。
だからYUKIは、6年経った今も二人が笑い合った日々を覚えているんだと思う。
……ねぇYUKI。
フジヤマはユキさんのことを覚えてるよ。
ううん、それだけじゃない。
フジヤマはね、今でもユキさんに恋してるんだよ。
今でもずっと、会いたいって願ってる。
「……でも、ユキさんは……」
……ユキさんはチャットに来ていない。
6年前からずっと、来ていないんだ……。
「……一期一会、だもんね……」
私がみんなとリアルで会ったのは、フジヤマがオフ会をしようと提案してくれたからだ。
その提案がなかったら、私たちは今でもチャット“だけ”でやり取りをしていたと思う。
そしていつの日か、私たちはチャットを離れ、みんなのことも次第に忘れていって……と、なっていたかもしれない。
「……私はもう、みんなが居ない生活なんて考えられないな……」
と、そんなことを呟きながら、3枚目を開いた。
手紙は、あと2枚。



