白球に届け

須藤先生の授業は楽しい。
先生が場を作ってくれるし、公式も教えてくれる。

でも……。
数学は点を取るのが難しいけど。

この日は複素数の日だった。

『-1』を平方根にはできないから『i』という単位を創ったんだって。
『a+bi』というのが基本構造で『a』が0だと純虚数、『b』が0だと実数になる。

実数というのは大きさや重さを表せる数のことだって。

例えば面積が2の正方形は一辺の長さが『√2』、一辺が2の正方形を中点で『田』の字型に分割して対角線を1本ずつ引くと描けるよ。

数学の授業が終わると昼食の時間。
今日の学食は何かな~。

うちの学食はカフェテリア形式でお料理も学食にしては豪華。
しかも安くて美味しいんだよ。

今日は洋食弁当の気分かな?
500円を払ってカウンターで受け取る。

エビピラフにタルタルソースがけのエビフライ、少量のスパゲッティ、野菜サラダまであって豪華。

「ここ、いいか」

隣の席に来たのは北島君。

「構わないけど」

「ありがとう。いや~助かるわ~」

「どうしたの?」

「今日は野球部の奴が全員弁当でさ~」

「だったら北島君も弁当にすればよかったのに」

「今日は朝練があったんだ」

それで納得した。彼のお母さんの出勤時間もあるからお弁当を詰める時間が取れなかったのだ。

「甲子園、行けそう?」

「俺はどうなるか知らない。ただレギュラーは来年以降になるな」

「どうして」

「センターの層が厚いんだ。俺は控えだけど3年生の高田先輩がレギュラーでさぁ」