社長からの呼び出しがあったその日は、トモとのスカイプの日だった。

「ユウ、どうした浮かない顔して。」

「トモと話をしているのに、トモのぬくもりが感じられないからよ。」

「嬉しいこと言ってくれるね。俺だって、ユウを抱きしめたいよ。」

トモからストレートなことばを返されると思っていなかった私は
笑みを浮かべた。

「ユウ、どうした?急に表情が変わった。」

「トモが私を抱きしめたいなんて言ったから。」

「俺は真剣に答えているのにそれはないだろう。」

「ごめん、ごめん。いままでのトモだったら、
私に頭ポンポンって感じだっただろうなって思って。」

「妹のような同期って思っていたときと気持ちが違うんだから、
そうだろ?」

「そう言ってもらえてうれしい。ちょっと元気になった。」

「ところで、夏休みこっちに来る日、決まった?」

「うぅん、検討中。」

「早く、画面上じゃなくてリアル・ユウに会いたいよ。」

「私だって。決まったら、すぐに教えるね。」

「まだまだユウと話していたいけど、
俺、これから仕事だから。また、来週な。」

「うん。お仕事がんばってね。
来週のスカイプの都合のいい日、メールで連絡するね。」

「あぁ、待ってる。じゃあな。」

トモと話をしているうちに、やっぱり私はトモのそばにいたいと思った。
ただ、そばにいるんじゃなくて、何よりこの仕事も好き。
社長は働き方の提案までしてくれた。
社員として働くか、フリーで契約で働くかまで…。
だったら、フリーで契約で働こう。
それなら、トモと一緒にいられる時間を確保できる。
自分の答えを見つけ、少し希望をもてた夜だった。