私がアメリカに来てから、1か月が経った。
日本でヒットしたトモの商品をアメリカでどのように売るのか、
SG社の営業のプロジェクトの一員として働いている。
Web会議システムで東京のマザーヘルパー社と連携しながら
仕事をしている。
日本との時差との関係で、会社以外のところ、
つまり一緒に住んでいるアパートでWeb会議に参加することもあるので、
会社での拘束業務時間は4時間くらい。
だから、朝、トモと一緒に出勤しても帰りは私の方が早い。

「おかえりなさい。」

とトモを出迎えられることがうれしい。
なんでもないことなんだけど、
トモのそばにいられるだけでこんなに安心するものなのだと実感する。

「ユウ、こっちに来てくれてありがとう。」

「どうしたの?改まって。
それを言うなら、こちらこそ、
無理に押し掛けてごめんなさい。
しかも、極秘結婚の状態で…。」

「俺、遠恋、甘く見てたかも。
ユウとは付き合いが長いし、
不安にさせない対策も自分なりにしてきたから
大丈夫だと思っていたけど、情けないよな。」

「トモ、私なんかもっとだよ。
トモが言ってたように私、
遠距離恋愛経験者なのに我慢できなかったんだよ。」

「まぁ、思えば俺たち、
『恋人』って期間があんまりなかったからかな。」

「お互いのことをよく知っているっていっても、
恋愛に発展して1年になっていないものね。」