「いや、ユウが悪いわけじゃない。それで?」

「会社を辞めて、フリーで契約させてもらったの。
だから、パーティーの件は、
トモからメールをもらう前にSG社とのやりとりの中で
秀斗くんとWeb会議で話すことがあって、聞いていたの。
実は、アメリカで仕事をすることをトモに報告しようと思ったんだけど、
秀斗くんに『アメリカの生活に慣れさせるために、
今は言わない方がいいんじゃない?それにパーティーのときに
ユウちゃんが来た方がサプライズ感あるじゃん』って言われたから…。
トモ、相談しなくてごめんね。」

なんとなく、トモに責められているような気がして、私は涙ぐんでいた。

「別に俺は怒っているんじゃないんだ。
ユウや周囲の人に本当に恵まれていると思うと嬉しくなって…。
だから、目頭を熱くしているだけ。
ユウ、顔を上げて。」

トモは両手で私の頬を包み、親指で私の涙をぬぐった。
そして、優しく口づけた。

「まぁ、いろいろあって、疲れただろう。
これで事情聴取は終わり。
俺はソファーで寝るから、ベッド使って。
シーツは今、換えるから。」

「えっ、一緒に寝ないの?」

私は久しぶりにトモの温もりを感じたかったので、
思わずそう言った。

「一緒に寝たいけど、
ユウと一緒のベッドでは俺が我慢できずに
疲れさせてしまいそうだから。」

たぶん、長旅を気遣ってくれたんだと思う。
この日、私はトモのベッドで、トモはリビングのソファーで別々に寝た。

「おやすみ。」

そう言って、トモは私の額に軽くキスを落とした。