______ヒュー…………ドンドンッ




大きな花火の音が鳴り響く。



大きな花火は、彼に抱きしめられている暗い所でも一瞬鮮やかに照らす。



花火の光で少しの間、チラリとだけど確かに見える彼の顔。



それは、なんだか…悲しい顔。



見ず知らずの人のはずなのに、なぜかあたしまでもが悲しくなってしまう。




彼はあたしをまるで離すまいという風に、しっかりと…強く、強く抱き締める。



でも、その手すら…なぜか悲しい程に震えていて…




彼は、それでも…




震えながらでも…あたしをしばらく抱きしめていた。