ーside尊ー

インフルエンザは学校で感染することが多い。

梓に聞いてみるか。

仕事の合間に梓に電話をかけた。

「梓?遥香のクラスにインフルエンザだった人いるか?」

「遥香ちゃんって3年3組だよね?」

「うん。」

「ちょっと待っててね。……あ、1人だけいるよ?遥香ちゃんの隣の席だった人…。え?まさか遥香ちゃん…」

「そう。インフルエンザだ。」

「え、大丈夫なの!?」

「熱も高いからまだ大丈夫とは言えない。」

「そう…。遥香ちゃんにお大事にって伝えておいて。」

「分かった。それじゃあ。」

やっぱりか…。

俺も外来で何人かインフルエンザの診察をした。

気をつけていたはずが菌を持ち帰ってたのかもな。

ごめんな遥香。

肺炎に繋がらなければいいけど…。

今日から泊まり込むか。

外来の診察が終わると遥香の病室へ向かった。

「遥香。」

「尊?」

「具合はどう?」

「んー…。」

まだ答えるのは辛いか。

「遥香、夜にリレンザやって欲しいんだけどできそうか?薬を吸わないといけないんだけど。」

本当はご飯を食べて薬を飲んだ方がいいけど遥香は食べれそうにない。

遥香は首を横に振った。

そうだよな。

でも、遥香に治ってもらうためには頑張ってもらうしかない。

「遥香?俺もついてるから一緒に頑張れるか?」

「うん…。」

「えらい。」

遥香の頭を撫でてから体温計をそっと入れた。

それからしばらくして体温計がなる。

そっと体温計を取り出すと体温計には

39.8

の数値を示していた。

遥香の意識は朦朧としていて話せる状態じゃない。

解熱剤投与するか…。

点滴から解熱剤を入れて熱が下がることを待った。