ーside蓮ー

俺は、今日ある女の子を見つけた。

身体が小さくて、可愛い少女。

あの子は一体誰なんだろう。

リハビリが同じ時間に終わってその少女の後をついて行った。

呼吸器内科?

ずっと見ていると、椅子でぐったりして点滴に繋がれていた。

そんなに悪い病なのかな。

初めて、俺よりも年下の人をリハビリ室で見かけた。

1週間の入院にうんざりしていたところだった。

俺は、その子と仲良くなりたくて声をかけていた。

「こんにちは!」

突然話しかけられたからだろうか、その少女はとても驚いていた。

「こんにちは…。」

「あ、驚かせてごめんね。俺は、麻木蓮。整形外科に入院してるんだ。」

「整形外科?」

「あぁ、この足。」

俺は骨折して治ってきた足を見せた。

「大丈夫?」

その女の子は、心配そうな顔で聞いてきた。

本当は、自分も辛いだろうに。

「大丈夫だよ。君、名前は?」

「白石遥香。」

「そうなんだ。遥香ちゃんは、どこか骨折とかしたの?」

「骨折じゃないよ。ここの病気。」

遥香ちゃんは自分の胸に手を当てていた。

「早くよくなるといいね。」

「そうだね。」

寂しそうに笑う少女。

「大丈夫、きっと治るよ。」

「…治るとか簡単に言わないで。私は、喘息で治りが難しいって言われてるの。」

「ごめんね…。」

「私の方こそ、感情的になってごめん。…私部屋に戻るね。リハビリ頑張って。」

「うん。ありがとう。遥香ちゃんも頑張って。また、話そう?」

「うん。」

その女の子は、自分の病室に戻って行った。

ナースステーションから、結構近い場所。

きっと、あの子の抱える病は重いのかもしれない。

それなら、今ここにいる間は遥香ちゃんのことを笑顔にしてみせる。

そう思いながら、整形外科へ戻った。