ーside輝ー

遥香ちゃんを久々に見た時、俺は驚いた。

前に入院した時よりもかなり痩せていた。

いつも一緒にいる尊は気づかなかったんだろうか。

気づいてるけどあえて何も言わなかったのか。

その辺のところを遥香ちゃんに聞いてみた。

「遥香ちゃん?最近、ご飯は食べられてた?」

「…私は食欲なかったんですけど…」

「けど?」

「尊に、少しでも食べるように言われて少しは食べてました。」

「そっか…」

やっぱり、尊は遥香ちゃんの体重減少に気づいていた。

遥香ちゃんを抱き抱えたまま体重計を乗ったら92kgだった。

俺が59kgだから…

遥香ちゃんは40をきってる。33kgか…。

何かしら食べてほしくて俺はお粥を作った。

「遥香ちゃんの体重、減ってたの?」

「33kgしかなかった。」

「たしか、4月身体測定で体重は40はあったのよ?」

「遥香ちゃんの身長って150だったよな?」

「えぇ。」

退院の1日前測った時は38kgだった。

もしかしたら、今は抵抗力も体力も落ちて熱が出ているのかもな。

「何か食べて力をつけてもらわないとな。」

きっと、体重のことを伝えたら好きで痩せてるわけじゃないとか言われそうだもんな。

だから、伝えない方向で行くか。

遥香ちゃんは、治療を頑張ってる。

それは、尊に心配かけないようにってことくらい俺にも分かる。

心配くらいかけてもいいとは思うけど、遥香ちゃんは人の気持ちに敏感だからな。

「梓、もうすぐできるから遥香ちゃんのこと連れてきてもらっていい?」

「分かった。」

「多分、立ち上がる体力はないと思うから抱きかかえて。」

「了解。」

梓は、遥香ちゃんを連れてきた。

「大丈夫?」

「…はい。」

「少しでもいいから、食べて。じゃないと風邪の治りが遅くなっちゃうよ。」

「…いらない…。」

「遥香ちゃん。無理して食べなくていいよ。でも、少しずつでいいからゆっくり食べてみよう?」

「……」

スプーンを持つ手が震えていることに気づいた。

「…いただきます。」

「どうぞ。」

本当に小さい一口だけど、口に含んでくれたことが嬉しい。

「どう?」

「…食べれそう。」

「よかった。無理はしないでね。」

よかった。
思った以上に食べれそうだった。

これも、尊のお陰だな。