その姿を見て夏惟はその場を離れて行く。

(ち、違う……違うの。待って。)


思っている事が、声に出せない。

(待って……待って。夏惟。行かないで。)


ついに夏惟の姿は見えなくなり、海織里はその場で涙を流していた。

「う、うぅ……夏惟…。」


すると、勢いよく足音がこちらに向かって聞こえてくる。

「「海織里ーっ!」」

「……紅麗愛、紅麗羽。」

「どうしたの!?海織里、連絡しても全然返ってこないから心配したのよ!」