「まだ決まってない。海織里は?」

「私も決まってないの。小さい頃は歌手が夢だったんだけどね〜。私下手だから無理かな。」


夏惟は懐しそうに相づちを交わす。

「懐かしい。そういえばよく言ってた。
毎日俺のとこ来て歌ってたのに。」


海織里も懐かしげに微笑む。

「まぁ、今になっては夢でしかないけどね。あ、夏惟も言ってたよね。
『海織里が歌って僕が歌を作る』って。
ほんと懐かしい。」

「その時指きりしたのも覚えてる?」

「覚えてるよ。約束だったもんね。」

「約束だった。じゃなくて、もう1度約束する?」