｢……あ、あれ！あれじゃない！？」

紅麗羽が指をさすと、遠くからで見えにくいが確かに夏惟がいた。

まわりには複数の女の子がいて、一人で歩いている夏惟をちらちらと見ている。


（モテモテ……なんだ。）

チクッと胸が痛くなるが、それよりも3年越しに姿を見ることができ、嬉しさが勝った。

｢なにしてるの海織里！早く行きなさい！」

｢そうだよ！早く行きなよ！俺らも後から行くから、とりあえず3年越しの返事！」

二人に急かされ、やっと夏惟を見ていた目が離れ、慌てて教室を出ていく。

（夏惟が！……夏惟が戻ってきた！）

走って階段を降るが夏惟の姿はなく、どこに行ったんだろうと周りをきょろきょろする。