(私の歌声……聞こえてるかな。
テレビ、観てるかな。
私のこと……覚えてるかな。)


そんなことを思いながら家に帰った。



朝、部屋中に目覚ましの音ではなくケータイの音が鳴り響く。


「ふぁあ。こんな朝早くから……。」

あくびをしながら画面を見ると、数十件程の履歴があり、それは全て紅麗愛からだ。


「……もしもし。紅麗愛どうし……。」

「海織里!やっと出た!」

あとの言葉を遮るように紅麗愛は話す。

「どうしたの?」