*いつかの君と夏を探しに*

3人でバンドを組んでいる。

三年前、海織里が歌手になると決めた日から紅麗愛と紅麗羽も海織里の力になりたいと、一緒にバンドを組む事になったのだ。

3人は高校1年の時、大手音楽事務所のオーディションを受け見事に合格でき、こうやって現在活動している。

「私ここで降りなきゃ、じゃ2人ともまた明日ね!」

海織里は電車を降り、改札口を出た。

空を見上げると、5月にもかかわらず秋空が広がっている。

まだ夏惟も夏も見つかっていない。


「夏惟……どこにいるんだろ。」

海織里は夏惟の事を片時も忘れたことは無く、毎日近所を探したり仕事や学校がない日は少し遠くを探したりしている。