『入学式を始めます。新一年生は体育館へ集合して下さい。部活生は時間になったら各自――』
校舎がざわざわと震えている。
移動する生徒の声や音で、賑やかだったけれど、利香の目の前に聳え立つ巨人は少し苛々と落ち付かない様子だ。
「遅刻するぞ」
「待って待って。すぐ終わるから」
「俺は別に良いが――お前はその胸のリボン、新入生だろ」
利香の制服のリボンに気づいて、彼は焦ってくれているらしい。
利香は、巨人の白いYシャツを脱がせ、タンクトップのまま放置して、シャツにネイル用のリムーバーを振り掛けていた。
当て布が見当たらなかったので、丁度新学期用品として持ってくるようになっていた新品の雑巾を使って、応急処置をしている。
「これで大丈夫と思う。ブランド品のバックとかの汚れ落としも、ブランドショップで売ってるけど、あれも結構凄いんだよ――」



