「不可能?」
「自然界で咲くことがなくて作ることもできない色が、青だった。でもね、品質改良してできてから、花ことばが『可能』になったんですって。人工で作っておいて、よ。でも最初は青い色素を持った薔薇だった。それが何回も研究して綺麗な青いバラを作りだしたの。奇跡ってね、人の手が起こしてくれる努力の結晶なんですって」
「努力の結晶。素敵ですね。誰が言ってくれたんですか?」
青いバラを受け取ると、乾いた絵具の匂いがする。
造花に青い色が塗られた安っぽい薔薇。
イミテーションに何も魅力を感じなくて、受け取ってしまってもどうしていいのか分からない様子がありありと感じられる。
「大切な人。でも私の足は奇跡が起こらなかったけど、奇跡を見せてくれる人が好きよ。貴方にもきっと見せて貰える。そんな予感がするの」
不可能を可能にしてくれる存在。
菫は利香にそう縋ろうとしていた。
何かを諦めても、何かを縋ろうと。



