「免除とかあるんですね」
「そうね。本当は甲子園を目指すのだから野球部も朝部は免除よ。なのに、響也が朝部も続けるのは一体どんな思いがあるのかしら」
「え?」
「って、なんてね。サッカー部の部長も朝部続けてるもん。きっと文芸にも楽しみを感じているのよね」
ふふと菫先輩は笑ったけれど、その笑顔はさっきよりも真っ直ぐでは無い。太陽に曇が掛ったみたいに陰りが見える。
「菫先輩、私を此処に呼び出したのって、薔薇の見学が目的じゃなくて、何か聞きたいことがあったから?」
「うーーん。そうみたい。私ったら、女々しいわよね。駄目ね」
菫は、慣れた手つきで車椅子を回転させると利香と真正面から向き合って、舌をペロッと出した。
「恋愛部が発足したら、私が一番最初の依頼人をしてもいいかなって」
もう隠すのは止めたわ、と菫は笑った。
「私、いつの間にか歩けない臆病な気持ちを持っている見たい。悔しいけれど」



