「貴方、葉っぱから虫を取り除くのや、重い肥料や土を持って運ぶのや、休日の水やり当番とかいや?」
「問題ないですよ」
「今、入り口で説明をしていたのは、それらがクリアできない入部見学者。貴方はクリアできそうな入部希望者。ちょっとだけニュアンスが違うだけなの」
「……ふうん」
利香には微妙なニュアンスの違いがよく分からないけれど、分かったような気もする。
特別扱いではなく、区別のようなものだった。
「綺麗な温室ですね。奥にこんなカフェみたいな座る場所があるなんて」
奥の薔薇の前には、テーブルや椅子が置かれ、景観を損なうことなく溶け込んでいる。温室の中のカフェのような出で立ち。誰も来ない奥の小さな秘密の場所。
「せっかく大事に育ててるんんだもの。愛でる場所も必要だわ。目で愛す。言葉で愛す。触って愛す」
「素敵です」
自分たちで大事に育てた温室の中の楽園を見て愛す空間。大事な事だと知る。
「私、こんな足だから、運動部は免除されてるの。だから人一倍この園芸部に思い入れが籠っちゃって」



