「温室のさらに奥に薔薇があるの、案内するわね」
「え、でも、他の見学者さんが」
「温室の管理は私だけ。どちらにせよ、新入生には当分近寄れないの、来て来て」
新入生が近寄れない場所に近寄っていいのか疑問に思いつつ、好奇心に勝てずに着いていく。途中、利香は崎山先輩の車椅子を後ろから押そうとしたらやんわりと断られてしまった。
どうやら先輩は一人で操縦することに拘りがあるみたいだ。
「兎輝ちゃんって言ったら、何か生徒会長と被るよね。利香ちゃんでもいい?」
「良いですよ。ねえ、崎山先輩」
「菫でいいわよ」
屈託なく笑いながら、ポニーテールを揺らした。
その笑顔は、温室の中の向日葵のように、まわりをぱっと温かくしてくれる。
「菫先輩、他の新入生が入れない場所に、まだ入部するか分からない私を入れるのはやっぱ公平じゃない気がします」



