三月ウサギは恋をする!?

お昼休み後、歩夢は屋上へお昼寝に、賢次郎はパン屋へアルバイトに、そしてみなもは野球部の見学の子たちの中へ紛れて、人見知りなのも忘れて行ってしまった。

利香だけは真面目に部活動を見学するべくパンフレットを頼りに、一番南側の温室を目指した。


太陽の日差しがポカポカと温かく、きっと歩夢が猫のように丸くなって眠ってしまっているような午後。


温室の中には、数人の先輩達が既に入っていて、見学者たちに説明していた。


「あの、お邪魔しまーす」


温室の扉を開けて中へ入ると、先輩達が何人か利香の方を見て固る。明らかに表情を変えた。それも、良い顔色ではない。

「いらっしゃい。来てくれるなんて嬉しいわ」

唯一、嬉しそうな声をあげてくれたのは、先程少しだけ会話をした車椅子の先輩だけだ。

「あ、文化部部長のえっと」

「崎山です。兎輝さん、薔薇に興味があるのね」

「え、いや、千昌さんが綺麗だって言うから気になりまして」

利香が素直にそう白状して、へへっと後ろ頭を掻きながら笑って誤魔化すと、崎山部長も面白そうに笑ってくれた。