「廊下をローラースケートしたら危なくないの?」
「大丈夫だ。普通に歩くようにもできる。こうやって踵にローラーが付いていてだな。ではなくて、利香(りか)、お前本当に入学して来たのだな」
黒髪を七三に分け、分厚い黒縁眼鏡を人差し指で上げながら、生徒会長は溜息を吐いた。
(せっかく格好良いのになんでわざとそんなダサい格好するのかな。センスが無いのかな?)
「利香、聞いているか?」
「聞いてますよー。だってお兄ちゃんが頑張っている姿、格好良くて大好きなんだもん」
「同感です」
「ねー」
副会長の、鳥海千昌(とりうみちあき)が同じくダサい眼鏡を上げながら頷く。せっかくの肩まで伸びたサラサラの髪を三つ網できつく結んでいるのが神経質そうに見える。
二人とも、もっと普通にすれば美男美女なのにと利香も苦笑いだ。仕方がないと言えば仕方がないのだが、千晶までそうする必要はない『仕方がない』の部類だ。
「いいか、お前が俺の妹と言う事がバレテも、メリットもデメリットもないが、俺達が――」
「大丈夫だってば。それより、入学式始まるのにまだこんな所で大丈夫なの?」
「それは俺達の台詞だ。遅刻するぞ」



