三月ウサギは恋をする!?


「一階の、パン屋さん超良い匂いがするって思ったらね、なんと! 一階で焼いてそのまま売ってるんだって! すっごく美味しくて。あ、でもどれ食べようかすごく悩んでたらねー」

「遅刻したって事ですね」


「ごめんなさいー」


利香とみなもは、入学式の次の日、HRを堂々と遅刻していた。
よもや、あんな出来たての美味しそうなパンが並んでいるとは思わなかったと言い訳を述べながらも反省よりも感動が胸を占めている。

次々に運動部の皆が買いに来て、利香たちも流されるように買ってしまい、あまつさえ二個も朝から食べてしまったし。

そんな二人を朝から悲しげに教卓から見ているのは、担任の数学教師、綾小路 勇之介(あやのこうじ ゆうのすけ)先生。緩くかかったパーマに色素の薄い髪に肌。優しげな目元が印象的な先生。

「教師生活5年、一学期早々の遅刻は二回目です」
「あら、初めてじゃないんですねー」

「……あ、ええ。今の二年の歩夢くんですが」