三月ウサギは恋をする!?



 歩夢のストレートな言葉に、輝夜は動揺していた。その言葉を言われるような自分では無く。ましてや、そんな簡単に返事ができるものでもない。

「申し訳ないが、どのような理由で生徒会長を男として育てているのだ?」
 近衛が利香と輝夜に尋ねるが、二人は首を傾げた。

「理事長が跡取りに男の子を欲しかったからだと」
「では、理事長はどうして男が良いのかは二人は理由は知らないのか」
「うーん。あんま自分のことは喋らないし。喋るとしたら、お前を育てるのにいくらかかったとお金の話か、成績の結果の話だし」

「つまり、知らないのだな」

 近衛が難しそうな顔をする。利香が首を傾げると、両肩に手を置いて激昂するような、物静かな炎を目に浮かばせた。
「知らないかも。何も、知らない」


 親に対する理事長の態度や、親の理事長への反発、兄への仕打ち。それらの先入観から、利香はただただ祖父である理事長を『悪』と認識していた。

「それはいかん。勝負する相手を悪と決め付ければ、正義感を振りかざし驕る人間になってしまう。お前はそんな人間ではないだろう」
「響也先輩・・・・・・」

 近衛の、利香を労わる優しい眼差しに目頭が熱くなる。甲子園を目指した決勝で、近衛は相手への敬意を最後まで忘れなかった。それが、利香には足りなくて忘れてしまっていた大切な気持ちかもしれない。

「今から、理事長へ直訴してくる!」