木の枝を、ざざざざとなぎ倒しながら、輝夜は落ちていく。二階の窓から、美音や巴、竹鶏、千昌が眼を見開く中、一階の体育館の前の渡り廊下で目撃したみなもの悲鳴に、皆がそこに注目した。
「――捕まえた」
「あっ」
木の上から落ちた輝夜を受け止めたのは、優しく笑う歩夢だった。優しく、甘い笑顔で受けとめた輝夜の、流れ落ちる前髪を指先で払った。
「捕まえた」
「ひ、卑怯だ!」
「約束は、約束だろ」
歩夢が勝ち誇った顔で輝夜を見下ろすと、放送を聞いて二人の勝負を見に来た野次馬が周りに集まりだす。
「俺が捕まえたから、輝夜はもう俺のもの。誰も手え出すなよ」
「待て、高梨。動いては駄目だぞ」
意外にも勝負を気にかけていたらしい近衛が、自分の上着を持ちながら二人の元へ駆け寄って来る。
「嫌だよ。ってか勝負に負けた輝夜は、今日から俺のモノだから不用意に近づかないでくれる?」
呆然として、歩夢の腕の中で大人しかった輝夜もその言葉を聞いて我に返った。
「はっ離せ!」
「会長、暴れるな」
「っと、輝夜(かぐや」
三人の声が中でぶつかって弾ける中。落ちながら小枝で切りキズだらけだった輝夜のシャツが、小枝に引っかかっていたらしい。猫に引っかかれたような大きな傷が胸元に浮かび服を破いてしまっていた。
中のサラシが顔を出してしまう。



