三月ウサギは恋をする!?



 利香の母親は、利香同様にくるくると表情を変えながら輝夜に詰め寄る。

「君のお母さんも、私の妻も、あの人には認められたことも見て貰えたことも無かったと聞く。――君の努力をあの人は数字でしか見ないんだよ」

 利香の父親の言葉に、輝夜の表情がグシャグシャに破綻する。言葉に出すのも飲み込むのの、輝夜の胸を痛める。


「別に、理事長だけが悪いわけじゃないです。今さら俺は生まれた時からずっとこう生きて来ました。今さら、無理です。もうきっと心も男です。無理なんです」

 胸元のシャツを掴みながら輝夜はくしゃくしゃの顔を伏せる。
 胸が膨らんできたのを必死で隠してきたのは、理事長の為ではない。

今まで17年生きてきた中で、関わってきた全ての人達に嘘を吐いていたこと、自分が女としての気持ちが分からないこと、自覚が芽生えないこと。理事長が後継ぎは男しか認めない理由も努力し理解して負の連鎖を止めたいと思う事など。輝夜も輝夜なりに考えているのだ。

「お兄ちゃんを苛めないで!」