利香が印刷ボタンを押して全校生徒のお知らせのプリント準備から心が離れた。
「缶けりって逆に疲れませんか?」
千昌がまず一番に言う。
「休憩なら寝る」
賢次郎も同意。
「利香、歩夢でさえ頑張ってるんだから」
「俺でさえってなんだよ」
「ねえねえ、パン屋のお兄さんと近衛先輩ってどっちが二の腕逞しいかな?」
「うわー。もう知らない! 私、恋に逃げる! 先輩に会ってくるっ」
一目散に駆けだした利香の足に、誰も敵うものなど居なかった。甲子園をペアタオルで応援しよう、と一応は恋愛促進活動も行う中、もうそんな心配もいらないくらい各方面から誰と誰が付き合っていると言う噂が広まっッていく。
近衛さえもが好きな人に告白しているのが大きな要因だろう。
「わーん。先輩、先輩!」
肩を痛めていた近衛もすっかり良くなり、レオと二人で柔軟体操をしている様子だ。
「利香。お前、最近忙しいな」
「忙しいです。先輩に一目も会えなかったら元気パワーが集まらないです!」
「そうか。いてっ、いや、その、可愛いな」
レオに突かれて照れながらも可愛いと本音を言う。利香の髪をわしゃわしゃと撫でながら、近衛は大きく頷いた。



