生徒会室の窓から『野球部甲子園おめでとう』と大きな幕が垂れさがる。美音や竹鶏が指揮をとり、三年女子が作ったものらしい。
月華学園は、生徒の大半が大学部への進学を希望しているせいか、ギリギリまで三年が部活に専念でき、こうして夏の甲子園も応援が出来る。
利香も大忙しで、恋愛派遣部よりも公務部の仕事で学園中を走り回っていた。あれから正式な恋人同士になったはずの二人だが、忙しい日々により余り進歩がみられない。昼休みさえ部活が二人を襲う。
「これって、恋愛する時間が無い気がするんだけど、歩夢君はどう思う?」
「お前が一番恋愛するように呼びかけてるのに、時間作れてないって矛盾すぎると思う」
「おい、利香。無理するなよ。俺が全てするから公務部は自分たちの活動をしなさい」
その細く白い腕で段ボールを二個運びながら、輝夜が言う。
「でもお兄ちゃんも千昌先輩も最近お昼休みまで部活してるよ」
「俺は良い。気にするな。最近は胃薬は止めたし」
甲子園の初戦会場がくじで決まってからは、大忙しで応援のタオルや旗、応援歌のプリントなどや寄付金のよびかけなどの本当に、忙しく目の回る一週間だった。
「もう駄目。本当に駄目。皆で休憩して缶蹴りでもしない?」



