「お、おい、兎輝、泣くな。すまない」
「わああああん、なんでそんな、突然するのおおお。うわああん。皆見てるしもうやだああ。先輩の馬鹿! お兄ちゃんに言いつけてやる」
「な、泣くな。すまない。だが、責任取るぞ。俺はいい加減な気持ちで自分へのご褒美にしたわけでは無く――ああ、お前の気持ちを聞く前だったのは悪かった。すまない。――泣くな」
「無理です、ううう。もっと目とか閉じてうっとりしたかったのに。私の気持ちなんてそんなの、こんな声になった瞬間に自分でももう気づいてます」
「お前ら何やってんの?」
「バカップル?」
「ってか今、キスしなかった?」
歩夢と巴、玲音が抱き上げながら喧嘩する二人を見て呆れた顔を見せた。
「近衛先輩が、告白もしてないのにキスしたああ」
「泣くな。言う。言うから、泣くな」
どうしていいのか、またつい気が急いて本能のまま行動してしまったと慌てると、近衛は利香を抱き上げながら耳まで真っ赤にして言う。
「甲子園まで俺に着いてきて欲しい。利香」
「先輩」



