『今日がゴールじゃなく、始まりの日に慣れたのは、今日までを応援してくれた皆のおかげです。戦友たちの甲子園への思いを馳せた試合を勝ち進んだ俺たちは、甲子園に行くだけで満足しません。そんなの、今日の日を胸に頑張ってきた同じ思いの皆に失礼だ。狙うなら、甲子園でも優勝です』
響也の言葉に球場内は沸き上がった。真っすぐな、裏も表も無い響也の声に利香は嬉しくなる。
『今日、御守りのお陰でつまらない事を考えなくてすみました。腐らずに済みました。心に声が響いてきました。野球部が三年間頑張ってきた事をこの御守りと共に空に飛ばせて、俺を導いた声が、今も俺を支えています、心はずっと傍にいてくれるから』
ざわっ広がる黄色い声に、近衛は『以上です』と、言うときっと深々とお辞儀をする。
甲子園で優勝するまで、きっと近衛は、きっと涙を見せない。それまでは利香も彼をずっと支え、応援したいと思う。
強く大地を蹴りあげながら、野球部の元へ急いだ。



