三月ウサギは恋をする!?



「チア部集合!」
「野球部一年、用意!」
「応援団、掛け声始めっ」
「揃わなかったら、先輩たちに響かないよ! 心を一つにしてー!」


 利香の合図でまた客席から野球部へ応援が再開された。今度は息もぴったり。少しずつだが巻き返してきた。
「皆っ ありがとう」

 ぶわっと涙が溢れてきたが、利香を支えている歩夢が足を叩いた。

「――まだだ。勝つまで泣くな」
「お前らやる気あんのか! 一年、声どこに忘れてきたんだこらー!」

 利香の後ろから怒鳴り声が響き、野球日の一年が縮みあがると、後ろにはサッカー部のユニファーム姿の玲音が立っていた。にっこり笑ってはいるが、ぴりぴりした緊張感が伺える。

「サッカー部、試合だったんですね」
「おう。急いで勝って応援に駆け付けたよ。なんだよ、たかが野球選手の息子だろ。本人じゃないんだから怯えてんじゃねーよ」

「レオ、悪いけど一番下まで手つだってくれる?」

 サッカー部の応援へ行っていたらしい菫も利香たちの所まで玲音に抱かれて降りてきた。二人は近衛を信じ、自分たちの試合を優先したらしい。玲音たちが来たことで更に士気は高まり、応援席の活気が蘇った。

利香はそれでも、歩夢の背に跨り旗を振り続けた。声が枯れても良い。空に溶け込みたいと、両手を振った。
「利香ちゃん、見て」