三月ウサギは恋をする!?



 客席を見渡す。


「近衛先輩はいつもまっすぐだった。三年間努力して来たのはこっちも同じだよ! 今日のヒーローは、三年間頑張った野球部! 大物ルーキーじゃない! 皆が三年間見てきた野球部。肩が痛くても大物ルーキーに向かってヒットを打った近衛先輩。近衛先輩の頑張りをちゃんと見て。応援して。声にしようよ! ちゃんと皆で優勝しよう!」


 張り叫んだ。爪先から頭の上から、大声で叫んだ。自分の声が今届かないのならば、消えても良いと。だから青空を切り裂くような大きな声で叫んだ。

「私たちが応援しなくて誰が応援するの!」
「あんなに……あんなに頑張ってきたのに」
 悔しくて寝身だが込み上げてきたのを、利香は乱暴に腕で拭うと顔を上げた。

「一年生の首から下げているタオル! あれ全部貸して」
利香がタオルを奪いだすと、みなもと歩夢、賢次郎が立ち上がりタオルを一緒に結びだした。

それを応援団の旗に括りつけると全力で振りだした。

「近衛 響也! 私たちを甲子園に連れて行け! 諦めんなよ!」
「そうだそうだ。へばんな」
「センパーイ! 好きでーす!」

 みなもの、応援とも言えない応援に肩の力を抜くが、歩夢の肩に乗り、利香は我武者羅に応援を始める。
「お、音楽部! 一年生に教えられてどうするの! 演奏の準備!」