三月ウサギは恋をする!?





 入道雲が青い空を覆い隠す。蝉の声が空を切り裂いていく。


 しいんと静まりかえった試合会場。セミの声が大きく反響して聞こえる中、このピリリとした緊張感の中、慌ただしく走るのは利香と歩夢だった。

楽器が壊れたり、チア部の一人が足をくじいたりと縁起が悪いことが続く中、それを観客に気づかれないように公務部が一体となって走り回っていた。地区の決勝戦だというのに取材やテレビの数が多く、それだけ注目されているのだろうと緊張しつつも、もやもやと何かが引っかかっていた。

 だが試合が、始まる前、高校の紹介をしている時に事件は起こった。月詠高校の紹介の放送が流れる時だった。ざわざわとテレビの取材やフラッシュが多く焚かれ出す。まるで何か大き記者会見のように。

「歩夢君、これ、どういうこと?」

 取材陣が相手の高校の部長に一斉にフラッシュを焚いている。そして次の瞬間、――放送から流れる高校の紹介に耳を疑った。

『無名高校から、実力で甲子園に行けと、母親の旧姓で乗り込んだ期待の一年生エースが、今日、その真実のベールを脱ぎます!』

 いきなりの漫画の様な展開を話されて面食らいながらも、会場も取材陣の多さに緊張している。