そこに、グランドまで一人で漕いでやって来たのだろう菫が入ってきた。
「響也っ」
「お前まで。部室の前は石も多いから危ないぞ」
「……今の響也に言われたくない。馬鹿。無理ばっかして」
近衛に馬鹿だとこの状況で言えるのは菫だけだろう。近衛がどれだけ頑張って明日に漕ぎ着けたかを皆が知っているから。それでも馬鹿だと言えるのは心が通っているからだ。
「大丈夫なの?」
「右肩は無事だからな」
「わ、私、良い整骨院知ってる。 歩夢君と私が部活してた時に通ってたの。午後から抜けて其処行こう。歩夢君なら予約取れるはず」
「兎輝」
「俺もそれが良いと思う。顧問はレギュラーと練習中なら俺が自転車で送っても良いし、綾小路先生に聞いてみる」
レオは一番近い内線がある体育館へ走った。
「そうね。それがいいわ。大丈夫、野球部には――嘘付きの私が上手く言っておいてあげるから」
菫は微笑むと、また部室から出て行った。利香は、後ろ髪を引かれながらも歩夢の元へ戻って行く。
「皆、響也は大丈夫みたい。でも、今日はこれ以上張りきったら怪我しそうだからちょっとだけ休ませるわね。明日、頑張ってね」



