三月ウサギは恋をする!?



「自分はいるのにひでー」
「なっ 近衛先輩は違うってば」
 利香が大声を出したと同時に、保健室にレオが飛び込んで来た。
「先生、大変だ!」

 レオが血相を変えて入ってきた瞬間、利香は運動場へ向かって走り出した。
 すぐに向かった野球部では、近衛以外のレギュラーが陣形を汲んでいる。近衛は、一年に背中を冷やして貰っているようだった。

「近衛先輩っ」
「兎輝か。すまない。驚かせたか」

 昼休みまでもフォーメーションのシミュレーションをしている野球部にも驚いたが、左肩を押さえている近衛の顔が引きつっていた。近衛ならば、もっと周りに表情を悟らせないようにできる。その近衛が顔をひきつらせていると言う事は、きっとその何倍も酷い状態なのだろう。

「だ、大丈夫ですか?」
 気が効く言葉が浮かばない利香の言葉に、近衛は温かい眼差しで頷いた。

「明日、甲子園へ行く第一歩。地区予選の決勝だ」
「月詠高校と……」
「明日は、今まで一番空が近く青いだろう」