それは汗でじとりと肌に制服が貼り付き、蝉の声がじりじりと鼓膜を刺激するある晴れたお昼休みの事だった。保健室で賢次郎に言われた依頼者が、利香と歩夢を囲む。おのおのハンカチやタオル、腕で涙を拭っていた。
「酷いわ。酷い。近衛先輩は私の憧れだったのよ。お、御守りをいつでも受け取って貰えるように、毎週クリーニングに出していたのに」
目の前の、お色気いっぱいの生徒は、ブランドハンカチで鼻を噛みながら号泣していた。
「あ、えーっとじゃあ何かアプローチとか、恋人のような関係だったとか?」
「憧れっていってるでしょ! 話したことはないけど、応援に行けば客席の私の方へ視線を飛ばしてくれていたのよ!」
「アプローチもせずに御守りだけ貰って貰おうって」
「うるさいわね! じゃあアンタはアプローチも努力もお洒落もしてないで私の近衛先輩から御守り貰って貰ったのはなんでよ」
そう言われたら、利香は言葉を詰まらせるしかない。
「うううう。皆の近衛先輩を返してよ!」
「レオは皆に優しいし、誰からも告白されても付き合うとかしなかったから部活一筋って思ってたのに。月華学園のイケメン四天王の二人が居なくなるなんて酷い」
歩夢に話を聞いてもらっているのは、こちらも見た目は派手系の三年生たちだ。アイラインが涙でくすみ、パンダの様になりながら三人で歩夢を囲んでいる。
「え、ってかイケメン四天王って誰?」



