三月ウサギは恋をする!?



 利香は挨拶もせずに飛び出そうとすると、扉を開けてすぐの壁に歩夢が持たれて掛っていた。

「話は終わり?」
「うん。もう話したくもない」

 利香が口をへの字にして怒っているのを、歩夢は両手で髪をわしゃわしゃとして止めさせた。

「ぶっさいくになってるぞ」
「生まれつきだよーだ」
「しっかし、お前と理事長って本当に家族って感じがしないな」

 流石の歩夢でさえ、苦笑している。事情を知っているだけに、理事長に強く出るのも躊躇っているようだった。

「家族じゃないから、じゃないかな」
「お前な」
「私、お兄ちゃんから後継ぎの座を奪いたいのは本当だけど、その為に近衛先輩に近づくはずない。このぺったんこの胸で近衛先輩を誘惑できるかっての」
「確かに」
「私の事は、なんて言われようともういいの。期待してないし。でも、近衛先輩の努力してる姿とか分かっていない。馬鹿にし過ぎ」

 丁度その時だ。
歩夢と利香の後ろから荒い息が聞こえ、二人は振り返る。すると、汗だくで走ってきた近衛が、壁に手を付き、息を整えていた。

「すまない。俺のせいで迷惑をかけていないか?」