三月ウサギは恋をする!?



「どういう意味?」
「ウチの一番大事な部活の部長をたらしこんで、試合の命運まで握るつもりなのだろう」
「はあ? 何それ! 意味が分からないですが」
「私も兎輝さんの言葉に同意ですね。理解しがたいです」
「だが、この子はそんな子なんだよ。強かで腹黒く、人の気持ちも利用しようとする」
「理事長」

 綾小路の声尻が荒くなる。本人の目の前で、聞いても気持ちが良い言葉とは思えなくて不快感を露わにする。

「別に、理事長にどう思われようがいいですよ」
 利香は平然と笑った。

「でも、私がお兄ちゃんが出来なかったことを全部達成したら、生徒会長の座だけじゃない。この学園を継ぐのは私だってこと、認めて下さいね」
「認めなかったら、たぶらかした近衛君にでも酷い言葉を投げつけるか振れば甲子園への道が閉ざされると言うわけか」

「お言葉ですが、近衛先輩は私の言葉ぐらいで揺らいだりしませんよ。脅しの材料なんかになりません」


 近衛が好きだの腫れたので、心を乱して甲子園への道を閉ざすような軟な心でないことは、短期間しか接していない利香でも分かる。時に自分の気持ちを殺してでも、チームのことを考えると述べた近衛だから。

「話はそれだけ? 先生まで呼んでばっかみたい」
「兎輝さん」

 完全に不貞腐れている利香の顔は、いつもの学園中を走り回る利香の顔ではない。明らかに理事長へ敵意や嫌悪を露わにしている。

「先生、行こう。この人ね、後継ぎのことしか考えてないの。孫になんて愛情の欠片もないんだから」
「え、あの、待って下さい、兎輝さん」