三月ウサギは恋をする!?



「えええ? 利香ちゃんが理事長のお孫さん?」
 驚いた菫の声に、近衛も目を大きく見開いた。

「レオ、例え真実であっても、隠したいことを簡単に言いふらすのはよくないぞ」
「響也、起きたの?」
「大丈夫。俺は菫にだけしか言ってないし、菫を信用してるよ」


 その言葉に、菫の目元がほんのりと色づく。近衛は短い髪をわしゃわしゃと掻きながら、落ち着かない様子で立ち上がる。

「やはり俺の今朝の行動が兎輝に迷惑をかけたのかもしれん。理事長室へ行ってくる」
「お、おい、響也」


 近衛は玲音に目配せのみで、そのまま理事長室まで走った。どうしても、利香の気を引きたかったが、自分の気持ちにも向き合いたかった。
近衛でさえ、自分の気持ちのコントロールが出来なくなる事がある。それがきっと誰かを思う気持ちだ。周りが見えなくなる気持ち。自分の気持ちをただ相手にぶつけるだけでは迷惑になる、そう気づいた近衛は、利香の元へ走った。
 
 理事長室の、ただただ値段が高いだけのインテリアでまとめた空間が利香は大嫌いだった。

入学式のとき、入った瞬間に眉を寄せた。だが、すぐに太陽の光で反射された額のせいで視界が眩しく遮られ周りは見えなくなっていた。そうだ、きっとこの額が悪い。光で、その悪趣味な成金インテリアさえ隠してしまうその、ツルツルな額が悪い。

「失礼します。久しぶりですね、理事長先生」