三月ウサギは恋をする!?


「もう、お兄ちゃんたら。大丈夫大丈夫。先生も一緒だしね」
「ま、まて、千昌だ。千昌を呼ぼうか」
「良いってば。良い子で待ってて。胃薬もちゃんと摂取量守ってね」

 利香は元気に笑うと、部室から出ていく。
「ったく。お前らって本当に――」

 歩夢はその続きは言わなかったが、座り込む輝夜の頭をくしゃくしゃと撫でると、利香の後を追った。

「今の呼び出し、一体何なんだろうね」

 菫が玲音に話しかけながらも、ジャケットを頭から被って爆睡中の近衛を見る。既に今朝の近衛のことは、菫と玲音の耳にもばっちり入って来ていた。
二人には、近衛が利香に『甲子園に連れていくから俺に着いて来い』と公開プロポーズののち、返事も待たずにリボンを強引に奪った、と噂が流れてきた。
だが、噂話の大袈裟さを良く知る二人は、リボンを貰いに行ったのだろうと容易に想像できた。そして近衛にそんな行動を取らせた利香を凄いとも思っている。

「俺、その、小耳に挟んだことあるってーか、その噂話って好きじゃねーから黙ってたんだけど」
「うん」
「あ、ちげーよ? 菫の噂の事件は確かに酷いことだけどでも原因は俺にもあるし。俺が聞いて欲しいのは、兎輝の二人の事だ」

 玲音は言いにくそうに、頭を掻く。
「理事長の孫って噂があるんだけど、それ、本当なんじゃないかなって思う」