三月ウサギは恋をする!?



「おおおおお、お兄ちゃん、おおお、落ち着いて、お落ち着いて、し、深呼吸、深呼吸しよ!」
 二人は全く乱れず、同じ角度で深呼吸をすると、大きく息を吐き出したままぱたんと床へ座り込んだ。

「お兄ちゃん、い、いきなりだったの。 びっくりして、何が何だか」
「こ、公開プロポーズなんて、ななな、なんてふしだらな。 利香はまだ16歳にもなっていないんだぞ。駄目だ。兄ちゃんは認めない!」
「ちっ プロポーズなんてされてないもん!」

 二人の意見が食い違う中、歩夢は不機嫌そうに炭酸ジュースを飲む。
このきょうだいは、驚き方が全く一緒だなと、呆れている姿が伺えた。
 その時、放送室からお昼のBGMが消え、呼び出しが掛かった。

『一年一組の兎輝 利香とその担任の綾小路先生、理事長がお呼びです。至急理事長室へ来て下さい』

 見る見るうちに、輝夜の顔色が変わった。血の気が引いて、たださえ真っ白な肌が、血の通っていない真っ青な顔になっている。

「り、か」
「げー。入学式以来だね。一体何なんだろー。やだなー」
 ぴょんっと跳ねて立ち上がる利香に、輝夜は手を伸ばす。
「お、俺も行く」
「お兄ちゃん」
「胃薬だ。胃薬を飲むから待っててくれ。歩夢、水をくれないか」
「炭酸ジュースしかないけど」
「それでいい。それで、ぶっつーーーーー!」
 飲んだ瞬間、思いっきり口から吐きだした。この世のものとは思えない味に、更に顔色を悪くする。