近衛が、利香から御守りを貰った話は、昼休みには全校生徒の知ることになり、一年のクラスに利香のリボンが本当にないのか見に来る生徒まで現れたぐらいだった。輝夜もその一人。大慌てで公務部の部室へやってきた輝夜は、誰かとぶつかり眼鏡が弾き飛んでしまう。
「あ、あぶないぞ! 俺が来たら避けるのがマナーだ!」
「っけ。横暴だな」
「眼鏡眼鏡」
四つん這いになり眼鏡を探す輝夜の足を、その声の持ち主は、踏んで見せた。
「――お前、歩夢だな」
「そ。何をそんなに慌ててんだよ、うぜーな」
「うっ! うぜーだと!? 貴様は利香と近衛の話を聞いていないのか!」
容赦なく輝夜に足を噛まれた歩夢は、足を退ける。軽くふざける程度に踏まれた手には何も怪我はない。
「ああ野球部のね。利香、すげーな。この数カ月であの野球部の部長まで落としちゃうなんて」
「結婚なんて、まま、まだ利香には早いぞ! 俺は認めない!」
「はあ? 結婚?」
「ああ。近衛部長が、皆が居る前で利香へ甲子園で優勝したら結婚して欲しいと公開プロポーズしたらしい。ゆ、忌々しきことだ! 学園の名誉を盾に俺の利香を脅すなんて!」
「話が飛躍しずぎなんですけど」



