二人の会話と、綾小路の会話を遮ったのは、先ほど別れたはずの近衛だった。すぐにクラスの野球部が何人が席を立ち挨拶をするが、丁寧に近衛も挨拶すると、まっすぐに利香の元へ歩いてきた。
「あれ? 私何かした?」
鋭い眼差しで向かってくる近衛に、利香が先ほど何か無礼をしてしまったのか必死で思い出そうとするが分からなかった。だが、近衛は利香の席の前で帽子を取ると、深々とお辞儀をして右手を差し出した。
「すまない。兎輝」
「はい?」
「制服のリボンを俺にくれないだろうか」
「え、へ、あ、このタイのことですか?」
首元で結ばれたリボンを利香が触ると、近衛は状態を起こして頷く。
「ああ。甲子園までお前のその飛躍的な姿勢を学ばせてもらいたい。甲子園で優勝するまで、借りていてもいいだろうか」
突然の近衛からの要望に、利香はただただ頷くだけで状況が分からないままリボンを渡した。
「私のリボン、甲子園まで先輩と一緒に居られるんですね」
くずぐったくなり利香がはにかむと、みなもが黄色い声を上げた。
「近衛部長がお守りを利香に頼んだわ!」



