「おー響也。いたいたー。疲れてない? 甘いモノ食べて頑張れよ」
朝部で渡そうと思っていたのだろう、チョコと栄養ドリンクを持った玲音が声をかける。玲音や菫の様な、自分の気持ちを熟知し気の置けない二人ならば、気を張らなくてもいいのかもしれないがそのような相手が――自分に居るとは思えなかった。
「すまない。授業に10分遅れる」
「え、ああ。保健室で休めばいいのに」
「すぐ戻る。決意が変わらないうちに」
そう言うと、一年の校舎へ後を追った。
「音楽部も練習に気合入ってるんだよ。甲子園で応援席で流す曲、もう完璧にマスターしちゃったよ私」
教室へ戻ると、みなもがうきうきと話し出すのはやはり野球部の事だった。
「気が早いけど聞くの楽しみ」
「利香もチア部の欠員で踊るんでしょ? 賢次郎先輩も応援団に派遣されたって」
「うん。欠員補充したら書道部と手芸部との交流会してくれる条件でね」
「あー。あの二つの部は、文化部とは交流会してなかったもんね」
そこで綾小路が朝のHRにやってきた。朝部があるので本当に簡潔に出席確認ぐらいなのだが、皆が起立し挨拶を澄ますと笑顔で今日の連絡を言いだす。
「ねえねえ、野球部のお守りって知ってる?」
「お守り?」
みなもが頬を染めて利香に言う。
「うん。レギュラーの皆がね」
「すまない。ホームルーム中、失礼します」



