三月ウサギは恋をする!?


 朝部で花達に水やりをしつつ、今日から夏に備えてひまわりを植え始めたばかりだった。忙しくて朝部も休みがちになっていたけれど、菫と玲音は順調らしい。


 この前のサッカーの試合では、はちみつレモンを持って応援している菫の姿を見かけたと噂が広まっていた。

菫は、噂の対象になることを別に嫌がることもせず、玲音も良い噂なら広まるべきだと率先して学校でも菫の傍に居る。そのことを近衛がどう思っているのか、利香はまだ聞けないでいた。

ただ、朝部の美術部にも顔を出したり出せなかったり、ベンチで眠って結果的にサボってしまったりと忙しいらしい。


「私たちにも強がって頑固だから心配だわ」
「それ、近衛先輩も言ってましたよ」

 やはり幼馴染だと利香が言うと、菫は苦笑した。菫の気持ちも玲音の気持ちも知ることができたが、近衛はどうなのだろうか。本当に野球一筋だったかもしれないし、菫が好きだったのではないだろうか。そう思うと、利香は胸がきゅうと締めつけられた。
玲音と菫が一緒に居る姿を、近衛がどんな気持ちで見ているのか。聞きたくても聞けないで居た。それを聞きたいと悩んでいた矢先に、近衛の肩の話。

「菫部長! 私、ちょっと近衛先輩のとこ行ってきます、これお願いしてもいいですか?」

 向日葵の水やりのホースをお願いすると、菫は頷く。心配だが、菫も上手く近衛と接していないようで、聞けないでたのだろう。
「利香ちゃん」

 野球部へ走り出そうとした利香を呼び止めたのは、絵具まみれの美音だった。「近衛くんなら、美術部にいるよ」
「え」
「――しっ。休ませてあげてるの。朝部終了ぐらいに起こしてあげて」